RATRO
LED の光取り出し解析
Modeling of light propagation in LED
リリースノート
Ver5.0がリリースされました。
製品概要
RATROは、LEDチップの活性領域からの光伝播を計算するシミュレーションソフトウェアです。光線追跡法 (レイトレーシングモデル) を用いることで、LEDチップからの光取出し効率や放射パターンなど、LEDチップの光学的特性を解析できます。
この計算結果を基に、LEDチップの光学的な設計や開発に役立てることが可能です。
さらに、LEDチップ材料や電極との界面、自由表面の光学物性を指定し、計算の実行から結果の可視化まで、ユーザーインターフェース (GUI) を通じて一貫して行うことができます。RATROのGUIは非常に直感的で使いやすい設計となっており、シミュレーションの経験が少ない方でも簡単に操作できます。
製品特徴
①ソフトウェアの機能
RATROは、LEDチップの活性領域からの光伝播を計算する事ができます。
光線追跡法 (レイトレーシングモデル) を用いて、n-, p-コンタクト層、基板中の光吸収・透過、及び界面における屈折を考慮して計算します。
LEDチップからの光取出し効率、近視野及び遠視野における放射強度、光度、放射パターン等を求める事が出来ます。
出力結果
RATROは、主に以下の様なLEDチップの光学的特性 (計算結果) を得ることが出来ます
- LEDチップからの光取り出し効率、各素子面における光取り出し効率
- 近視野、及び遠視野における放射強度密度分布
- 遠視野における光度分布
- 近視野における3D放射強度分布
- 放射パターン

(3D表示)

物理モデル
RATROは、主に以下の様な特長的な計算モデルを実装しています。
- LEDチップ構造はヘテロ構造 (GaN コンタクト層、活性層) 、基板 (サファイア基板等) と電極 (ITO電極等) から構成されます。
ヘテロ構造はSpeCLEDにて3Dモデルとして作成し、RATROで読み込む仕様になっています。
基板はSpeCLEDでは考慮されず、RATROにて作成します。
RATROでは平坦、及び傾斜のある基板を考慮する事が出来ます。
平坦基板は、厚みのみ指定し、傾斜のある基板 (図1参照) はRATROで形状情報を定義します。 - SpeCLEDにて計算された活性化領域における放射分布がヘテロ構造と共にRATROにインポートされます。
- 活性領域での発光強度分布、及び放射パターンは活性領域の両面 (上面と下面) で等しいと仮定します。つまり、両面で対称的な分布となります。
- 活性領域からの光の放射角分布は、 Lambert (ランベルト) の余弦則に従う Lambert 表面、またはユーザー指定で考慮する事が出来ます。
- 活性領域からの光は単色光とし、放射光の波長は各材料の屈折率を考慮し決定されます。
- 素子表面上における反射・屈折による分散角分布は Lambert の余弦則に従うと仮定しています。
- 金属電極界面上の光透過・反射は使用者が定義した透過・反射係数に従います。
- 基板の側面にも、光学的特性の設定を設定する事が出来ます。積層金属構造と表面周期構造の指定が可能です。
- ブロッキング層がある面についても、光学的特性の設定をすることが可能です。
- コンタクト層等における自由表面において、テクスチャ (六角形ファセット、四角形ファセット) を考慮する事が出来ます。


②ユーザーインターフェース (GUI)
RATROは、シミュレーションの経験がない方にも分かりやすいグラフィカルユーザインターフェース (GUI) を用意しています。
使用者はLEDチップ構造 (ヘテロ構造形状) に関しては、SpeCLEDのGUIにて行います。
計算条件 (光学物性や表面の光学特性) 、及び計算実行に関しては、RATROのGUIにて行います。
計算の実行の一連の作業を一つのGUIで行うことが出来ます。
また、可視化専用ソフトウェアView2Dを用い計算結果の可視化を行うことが出来ます。


動作環境
GUI (計算条件設定、計算結果出力) :Windows OS
8B RAM, Windows 10, 11 Professional 以上