CGSim
融液・溶液からの結晶成長解析
Modeling of crystal growth from the melt and solution
リリースノート
主な新機能・改善点
- 融液自由表面における境界条件の改良(表面張力の酸素濃度依存)
- Cz法Si成長におけるV/Gをターゲットとしたヒーターパワー調整
- 非定常計算におけるタイムステップの時間プロファイル設定
- Machine Learning Moduleのリリース
- 無磁場・カスプ磁場Cz-Si成長2次元解析におけるRANS/STR k-εモデルの追加
- 最外周熱境界条件の改良 (CVDSim3Dの三次元計算結果の考慮)
製品概要
CGSimは融液・溶液からの結晶成長 (半導体結晶、光学結晶) 用のシミュレーションソフトウェアです。
本ソフトウェアは、実験のみで把握することが難しい結晶成長リアクター内の現象 (温度分布、融液・溶液対流分布、ガス対流分布、融液・溶液内の化学種濃度分布 など) 、結晶品質に関わる現象 (結晶界面形状、結晶内熱応力分布、欠陥濃度分布 など) を再現し、可視化することが可能です。
これらの情報はリアクター形状、プロセス条件、結晶品質の最適化に利用することが可能です。
製品特徴
①多様な成長法・結晶種の計算が可能
CGSimは、結晶と融液の物性データをご準備いただけば、結晶種によらず計算を実施することが可能です。CGSimには材料のデータベースが内蔵されており、多様な成長法や結晶種に対応した計算実績があります。
以下に、CGSimで計算実績のある主な成長法と結晶種の具体例を示します。
| 成長法 | 結晶種 |
|---|---|
| Cz法 (チョクラルスキー法) | Si(シリコン), Al2O3(サファイア), CaF2(フッ化カルシウム), Ge(ゲルマニウム), Csl(ヨウ化セシウム), Ga2O3(酸化ガリウム), YAG(イットリウム・アルミ・ガーネット), GGG(ガリウム・ガドリニウム・ガーネット), BGO(ビスマス・ゲルマニウム・オキサイド), LNO(ニオブ酸リチウム), LTO(タンタル酸リチウム) |
|
MCz法(磁場印加チョクラルスキー法) ※水平磁場(横磁場) ※垂直磁場(縦磁場) ※カスプ磁場 |
Si(シリコン) |
|
LEC法(液体封止チョクラルスキー法) ※B2O3(酸化ホウ素)などの封止材を使用 |
InP(インジウムリン), GaAs(ヒ化ガリウム), Ge(ゲルマニウム) |
| EFG法(縁端限定成長法) | Al2O3(サファイア), Ga2O3(酸化ガリウム) |
| Ky法(キロポーラス法) | Al2O3(サファイア) |
| VB法(垂直ブリッジマン法) | InP(インジウムリン), GaAs(ヒ化ガリウム), Al2O3(サファイア), CaF2(フッ化カルシウム), CdTe(テルル化カドミウム), Ga2O3(酸化ガリウム), Csl(ヨウ化セシウム) |
| VGF(垂直温度勾配凝固法) | InP(インジウムリン), GaAs(ヒ化ガリウム), Al2O3(サファイア), CaF2(フッ化カルシウム), CdTe(テルル化カドミウム), Ga2O3(酸化ガリウム), Csl(ヨウ化セシウム) |
| DS法(一方向凝固法) | m-Si(多結晶シリコン) |
| シードキャスト法 | Si(シリコン) |
| HEM法(熱交換法) | Al2O3(サファイア) |
| Fz法(フローティングゾーン法) | Si(シリコン) |
| THM(移動ヒーター法) | CdTe(テルル化カドミウム) |
| アモノサーマル法 | GaN(窒化ガリウム) |
| 水熱合成法 | SiO2(石英) |
| Flux法(溶液成長法) | SiC(シリコンカーバイド), GaN(窒化ガリウム), ダイヤモンド |
Ky法サファイア成長解析
(左) 計算メッシュ、(右) 温度分布
(左) 炭素濃度分布 ・ 対流パターン、
(右) 温度分布
②ソフトウェア機能
CGSimは、融液・溶液からの結晶成長プロセスを支配する物理現象を計算モデルとして実装しており、温度分布、対流パターン、不純物濃度分布、熱応力分布などの結晶成長の最適化において重要な物理量を求めることが可能です。
計算モデル
CGSimは、以下のようなリアクター内の物理現象をモデルとして実装しています。
▶ 熱輸送
- 熱輻射 (面-面輻射、半透過材料内の内部輻射)
- 熱伝導 (材料物性の異方性)
- 対流伝熱
- 固体材料間の隙間における熱抵抗
▶ 融液成長における相変化をともなう熱伝導問題
▶ 光学結晶内部での光の吸収、屈折、散乱
▶ 融液・溶液内の対流
- 自然対流
- 強制対流 (結晶・坩堝回転)
- ガス流れによる剪断応力
- マランゴニ対流
▶ 磁場印加
- 水平磁場
- 垂直磁場
- カスプ磁場
▶ 融液・溶液のメニスカス形状の考慮
▶ 融液内バブル輸送 (Cz法シリコン成長)
▶ 熱源を考慮した総合熱解析 (成長速度・ターゲット温度への自動フィッティング機能)
- 抵抗加熱
- 誘導加熱
▶ 誘導加熱 (RF加熱) 時の融液・溶液内でのローレンツ力の発生と対流への影響
▶ 融液成長における結晶界面形状の予測
▶ 結晶内熱応力
- 弾性モデル
- すべり転位の発生と応力緩和による残留応力の形成
▶ 結晶内の点欠陥輸送 (Cz法シリコン成長)
- 原子空孔、格子間原子の輸送、再結合
- ボイド形成、酸素・窒素原子のクラスター化
▶ 化学反応モデルの内蔵
- Cz法シリコン成長 (坩堝からの酸素溶出、気相でのSiO、CO輸送)
- DS法多結晶シリコン成長 (シリコン融液内での粒子生成、結晶への偏析)
- Cz法サファイア成長 (融液内化学量論比、イオン輸送)
- Cz法Ga2O3成長 (融液内化学量論比、酸素蒸発)
- Flux法SiC成長 (Flux種・添加量に応じた炭素の溶出・溶液物性、SiC成長速度)
- Na-Flux法GaN成長 (Flux種・添加量に応じた窒素の取込・溶液物性、GaN成長速度)
▶ 非定常解析
- 引き上げダイナミクス解析 (Cz-Dynamics Module)
- 結晶の冷却プロセス
▶ 三次元解析
- LES乱流モデルを考慮した三次元流れ
- 磁場印加による対流の抑制
温度分布
化学反応モデルのスキーム
出力結果
CGSimは、以下のような計算結果を得ることが可能です。
- 温度分布、温度勾配
- 発熱分布
- 誘導コイルによるジュール発熱分布
- 対流パターン (融液・溶液、ガス)
- 結晶界面形状 (融液成長)
- 不純物/ドーパント濃度 (融液・溶液、ガス)
- 融液内化学量論比分布
- 磁場強度分布
- ローレンツ力分布 (融液・溶液)
- 応力分布 (ミゼス応力、主応力、剪断応力、各種応力成分)
- すべり転位密度分布 (結晶)
- Voronkovパラメータ (V/G : 結晶成長速度/温度勾配の比)
- 原子空孔、格子間原子、ボイド密度、酸素析出密度、窒素複合体密度 (Cz-Dynamics Module)
- 種結晶、寄生成長壁面における成長速度分布 (溶液成長)
計算メッシュと温度分布
水平磁場を印加したシリコン融液内の酸素濃度分布
最適化
CGSimの結果をもとに、以下のような最適化に活用することが可能です。
- リアクター形状設計、部材配置の最適化
- プロセスレシピの最適化 (ヒーターパワー/成長速度/温度プロファイル)
- 結晶成長速度の増加、均一化
- 電力消費量の低減
- ガス流れによる不純物パージ効果の向上
- 不純物輸送の制御による結晶品質の向上
- 理想的な融液内化学量論比を保つことによる結晶品質の向上
- 結晶のねじれ現象の回避
- 結晶内熱応力の低減
- 結晶のクラック発生の回避
- 多結晶生成の回避
- 磁場印加による対流制御の最適化
- Voronkovパラメータ (V/G:結晶成長速度/温度勾配の比)の制御による結晶欠陥発生の抑制 (Cz法シリコン成長)
(左)転位密度分布、(右)残留(ミゼス)応力分布
転位密度分布
(左)急冷条件、(右)徐冷条件
③CGSimのパッケージ構成
CGSimのパッケージ構成は、以下の通りです。
CGSim 2D Package
プリ、ソルバー、ポスト用ソフトウェアが一つにまとめられた基本パッケージ
基本パッケージに加えて以下のアドオンモジュールと組み合わせた計算も可能です。
3D Flow Module
融液・溶液内の成長領域の詳細な流れ解析を目的とした三次元計算用アドオンモジュール
Cz-Dyniamics Module
Cz法による引き上げダイナミクス非定常計算用のアドオンモジュール
Machine Learning Module (MLM)
Cz法に特化したマシンラーニングによる2次元計算の高速化、高精度化用のアドオンモジュール
④ユーザーインターフェース
CGSimは、シミュレーションの経験がない方でも直感的に操作できるグラフィカルユーザインターフェース (GUI) を備えています。
1つのGUIで、リアクター形状、計算メッシュの作成、材料物性の設定、計算条件の設定、計算の実行の一連の作業を行うことが可能です。
形状に関しては、AutoCADデータ (DXFファイル) のインポートにも対応しています。
計算メッシュに関しては、自動作成機能の利用に加えて手動による修正が可能です。
材料物性に関しては、CGSim内のデータベースの値を利用することも可能です。
また、基本パッケージに含まれる可視化専用ソフトウェアView2Dを用いて、計算結果の可視化 (2次元物理量分布、境界上1次元分布 など) が可能です。
動作環境
計算条件設定GUI、各モジュールソルバー、View2DはWindowsOSに限定されます。
(動作保証OS:Windows10、Windows11)
※3D Flow Module並列計算用のソルバーのみLinux (SUSE、RedHat) で稼働させることも可能
2次元計算用の推奨ハードウェア構成
【CGSim 2D Package】
- CPU :
- Intel Core i3 processor 以上
- RAM :
- 8GB RAM 以上
- Display :
- 1920×1080 以上
- Video card :
- Open GL3.1 以上
3次元計算用の推奨ハードウェア構成
【3D Flow Module】
- CPU :
- Intel Core i9 or Intel Xeon E processor with 8 以上
- RAM :
- 8×16GB DDR4-2933=128GB 以上
- SSD :
- 512GB 以上 (for WindowsOS)
- Display :
- 1920×1080 以上
- Video card :
- Open GL3.1 以上
※推奨ハードウェア構成は、計算モデルの規模により異なります。解析対象に即したハードウェア構成を提案しますので、お気軽にお問合せ下さい。