STREEM AlGaN edition
高効率半導体デバイス (深紫外LED, 窒化物パワーデバイス) 設計のためのMOCVD法によるIII族窒化物エピ成長プロセスにおける歪エンジニアリングシミュレーションツール
STRain Engineering in Electronic Materials-AlGaN edition
製品概要
GaN系電子・光デバイスの高性能化において、MOCVD法によるエピタキシャル成長中の歪み・応力状態と転位密度の制御は極めて重要であり、特にGaN-on-Si技術の急速な発展に伴い、その重要性が増しています。大きな格子・熱膨張ミスマッチによる過剰な応力に起因するクラックを抑制しつつ、ヘテロ構造内の歪み・応力の最適化や活性層の転位密度の低減を図るため、傾斜組成バッファ層や超格子構造、薄膜中間層の導入など、さまざまな構造や成長プロセスが検討・改良されています。
STREEM AlGaNは、MOCVD法によってシリコン、サファイア、4H-SiC、AlN、GaNなどユーザー指定の基板上に成長される (0001) III族窒化物ヘテロ構造における、成長および加熱・冷却中の応力・反り・転位挙動の変化をセルフコンシステントに解析できる専用シミュレーションソフトウェアです。与えられた成長条件から構造全体や特定層における歪み・応力、反り、転位密度を予測することが可能です。また、実際の成長中に取得されたin-situ曲率データを用いた逆問題解析によりヘテロ構造内部の応力分布を評価することも可能です。さらに、エピタキシャル成長装置内のウェーハ温度勾配を考慮した反り解析や、クラックの発生を予測する破壊判定基準も実装されており、クラックフリー成長条件の検討に有効です。
製品特徴
①ソフトウェアの機能
STREEM AlGaNは、成長レシピがIII族窒化物ヘテロ構造の特性に与える影響を理解し、それをもとに成長プロセスの制御・最適化を図ることを目的とした専用シミュレーションソフトウェアです。
特に、深紫外光デバイスやパワーデバイス用途のAlGaNヘテロ構造を対象とし、格子不整合や温度勾配に起因する構造内の歪みや応力、ウェーハの曲率、貫通転位の形成・伝播挙動、傾きによる応力緩和といった複雑な現象を高精度に予測することが可能です。
特に、以下のような解析が可能です:
- 加熱中・成長中・冷却中におけるヘテロ構造内の応力およびウェーハ曲率の変化の予測
- 圧縮応力を受けた層における転位の発生と、転位の傾きによる応力緩和の解析
- 転位の生成、傾き、消滅を含む転位ダイナミクスのモデル化
- 成長および冷却中に結晶に加わる引張応力に対する臨界応力の評価と、それに基づくクラック形成の予測
- ウェーハ全体にわたる温度勾配が反りに与える影響の評価と、それに関わる成長プロセスパラメータの最適化
解析事例
①傾斜組成AlGaN層とAlN中間層の曲率および転位密度にあたえる影響
上図は、STREEM AlGaNにより得られた、各成長ステージに応じたウェーハの曲率および貫通転位密度の時間変化を示しています。
図中の番号は各成長ステージに対応しており、AlGaN緩衝層において転位密度が大きく減少し、その後のGaN層で新たな転位の発生が確認されます。
さらに、GaN層に挿入されたAlN中間層では再び転位密度の低下が見られ、これらの中間層が歪み・応力制御において重要な役割を果たしていることが示唆されます。
上図は、AlN中間層の有無による曲率 (応力) 状態の違いを示しています。
AlN中間層を導入した場合、成長中に生じる圧縮応力が、冷却ステージで発生する引張応力と相殺され、全体として応力バランスが保たれます。
一方で、中間層を導入せず圧縮応力の蓄積がない構造では、冷却後に引張応力が顕著となり、クラックの発生が予測されます。
これは、応力制御の観点からAlN中間層設計が極めて重要であることを示しています。
計算モデル
STREEM AlGaNには、III族窒化物ヘテロ構造成長中における歪み・応力・転位の挙動を精密に再現するために、以下のような特長的な物理モデルが実装されています。
- 貫通転位の傾きよる応力緩和モデル
- 傾きのある貫通転位同士の衝突による転位の消滅
- 転位の自己エネルギーと応力開放エネルギーのバランスに基づく、V字型刃状転位密度の予測モデル
- クラック発生予測のための臨界応力評価モデル
- 得られた転位密度に基づいた、応力緩和後の有効格子定数の計算
これらの物理量 (組成分布、歪み分布、転位密度) は、ヘテロ構造内の分極状態や非発光性再結合定数に影響を与える重要な因子です。
STREEM AlGaNで得られた結果をデバイスシミュレーションソフトウェアであるSiLENSeに連携させることで、成長レシピが最終的なデバイス特性に与える影響を定量的に解析することが可能です。
②LED, 半導体レーザ向けデバイスシミュレータSiLENSeとの連携
歪み、転位密度はヘテロ構造内の分極状態や非発光性再結合定数等に影響を与えます。
STREEM AlGaNで得られた歪分布 (有効格子定数)、転位密度をデバイスシミュレータであるSiLENSeで使用することにより、成長レシピがデバイス特性に与える影響を解析することが可能です。
STREEM AlGaNで出力されたテキストデータをSiLENSeで読み込むことによって、自動的にSTREEMの計算結果 (組成、格子定数) がSiLENSeの設定に反映されます。
③ユーザーインターフェース
STREEM AlGaNは、シミュレーションの経験がない方にも扱いやすいグラフィカルユーザインターフェース (GUI) を備えており、成長レシピなどの計算条件の設定、計算の実行および結果の出力までを一貫して行うことができます。
通常は1日程度のトレーニングで基本操作を習得できるよう設計されています。